遊びと学び 2019年7月22日

土台の学びって?

かぜのーと編集部
投稿者 | かぜのーと編集部

2019年7月22日

*この記事は、5月に開催された学校づくり途中経過報告会で4人のスタッフが話した前任校での実践紹介をまとめたものです。軽井沢風越学園のカリキュラムとは異なる可能性があります。

この記事は、「探究の学びって?」記事の続きです。

質の高い探究の学びを深めるには、「土台の学び」が重要だと考えています。私たちは特に、国語、算数・数学、英語を「土台の学び」と位置づけています。たとえばたくさん読むことや書くことを通じて言葉を獲得することで、世界を認識したり、深く考えたりすることにつながります。校舎の中心にライブラリーを据えたのは、読むことや書くことを大事にしていきたいという私たちの願いの現れでもあります。「土台の学び」の学び方として、子どもたちが自分で学習計画を立て、自分のペースで自分の学び方で学んでいけることが大事だとも考えています。これを「自由進度の学び」と呼んでいます。私たちは、子どもが自分で学びのコントローラを持ちさえすれば、自分自身で学んでいけることを信じています。

自立した読み手・書き手になる

自己紹介が遅れました、澤田英輔と申します。井上と馬野がご説明した「探究の学びって?」では、子ども自身の興味からスタートして深めていく探究の学びの魅力を感じてもらえたかと思います。一方で、本当に自分の興味で進むだけで勉強ができるようになるのかな?、力がつくのかな?、と疑問を持つ方もいるかと思います。
探究の学びには、いろんなスキルが必要です。自分で問う、調べる、他の人に尋ねる、協力する。書いて考える、記録する、誰かに伝える。このようなスキルに関わってくるのが、言葉の力だと思います。
僕は国語科の教員として、作文教育と読書教育の研究をしながら、2019年3月まで東京の国立中高一貫校で教えてきました。教え始めて数年経った頃、自分の国語の授業を模索しているときに、ナンシー・アトウェルさんというアメリカの国語の先生が書いたIn the Middleという本に出会い、衝撃と感銘を受けました。アトウェルさんは、読み書きの分野における個別の学びをアメリカの国語領域で実践してきたパイオニアです。
彼女は、その情熱のあまり自分で学校をつくったすごい人なんですが、僕は2016年にはその学校を訪ね、授業を見学させてもらい、意見交換もしました。

また、2018年には僕が感銘を受けた「イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室」の翻訳を共同でさせてもらいました。
アトウェルさんの実践を少しずつ、自分の教室で試す中で大切にしてきたことがあります。それは、「子どもたちが自立した読み手、書き手になる」ことです。課題だから仕方なく読む・書くのではなく、自分で読みたいものを読んでいく、自分で書きたいものを書く、そんな授業を目指しました。

僕の授業では普通の教科書を読むだけでなく、読書の時間をたくさんつくりました。子どもたちは自分の読書計画をたてて、図書館の中で好きな場所で、好きな姿勢で読みます。前任校の図書館では畳コーナーに寝そべって読む子どもたちがたくさんいました。
そんな中で僕は何をするかというと、順番に子どもたちの側へ行き、どんな本を読んでいるのか、理解できているか、話を聞きにいきます。小説ばかり読んでいる人には、興味を持ちそうなノンフィクションを紹介する、あるいは別の関連本を紹介して、少しずつ読書の幅を広げ、量を増やし、力をつけていく授業をめざしました。研究によると、新しい語彙を獲得するには、9割以上はすでに本人が知っている言葉で書かれている本を読むことが必要だそうです。一人ひとりのレベルにあった本を読まないと、語彙は増えません。それで僕は、生徒が読んでいる本にあわせて、次の本の選択肢を提案してきました。

書く授業も同様です。一人ひとり抱える課題が違うので、テーマは自由にしたうえで書き進めます。前任校ではChromebookという簡易パソコンを使って、授業をしていました。パソコンだと書き直しがしやすいので、子どもたちは喜びます。自分のスマ―トフォンでフリック入力する子どももたくさんいました。僕は彼らの間を行ったり来たりしながら、進捗を聞いたり、困ったことがあれば相談に乗ったりします。また、僕自身も子どもたちと一緒に書くようにしていました。生徒と同じテーマで僕も書いて難しかったところを生徒に伝えることで、生徒のヒントにもなるからです。

これは、授業の最初に子どもに答えてもらったアンケートです。生徒には毎授業後にふりかえりを書いてもらって進捗を確認しつつ、授業前のアンケートをもとに、その日の授業で重点的に関わる子どもの目安にしていました。

自由に生きるための土台とは?

このような実践の延長線上に、いま軽井沢風越学園にいます。僕がここでやりたいことは、大人も子どもも読みひたり、書きひたる12年間をつくることです。そんな時間をともに過ごした子どもたちが、15歳で卒業する頃には、どんなになっているだろうと考えるとわくわくします。
そうして培った読み書きの力は、自由に生きるための土台のひとつにもなりうると考えています。まずは自分の好みの文章を持って、それを書けるようになる。次に、自分は好きになれなくても、この文章にはこういういいところがあるんだなと、その文章の魅力や書き手の思いもわかるようになってほしい。それは、<自由>と<自由の相互承認>だと思うのです。自分が自由に生きられるだけでなく、他の子どもたちの自由も認められる子ども。たくさん読み、たくさん書く経験を通じて、そんな子どもを育てたい。読み書きの力を使って、自分の人生を幸せに歩んでいける、他の人の幸せを尊重できる、そんな人に育ってほしいと願っています。

僕たちは、探究の学びも土台の学びも、どちらも大切だと思っています。それは、何歳からでも育ちます。その「探究や土台の学びの芽」が育まれるためにはどんなことが大事なのか。そのヒントは幼児教育にあると考えています。それが軽井沢風越学園が幼稚園から始まる理由の1つです。最後に奥野から「探究の芽・土台の芽」についてご紹介します。

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かぜのーと編集部です。軽井沢風越学園設立準備のプロセスを多面的にお届けしたいと思っています。辰巳、中村、三輪が担当。

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