イベントレポート 2019年4月14日

2018年秋・冬のかぜあそびの日レポート

かぜのーと編集部
投稿者 | かぜのーと編集部

2019年4月14日

1人ひとりの心の中に吹く風のままに遊ぶ。
風と風とが出会い、新たなあそびの風が生まれる。
誰かや何かにコントロールされることなく
たっぷりと風のように遊ぶ一日。

そんなイメージを描いて2017年秋にちいさく始めた「かぜあそびの日」は、2019年3月の回をもってひと区切りを迎えました。月に一度集まって、子どもも大人もたっぷり遊んだフィールドの鳥井原の森は、この4月から、2〜5歳まで27人の子どもたちが毎日通う認可外保育施設「かぜあそび」として再スタートしました。

軽井沢風越学園の幼稚園のあり方を考えるにあたり、思考より試行、子どもの姿から学ぼうとかぜあそびの日の開催を続けたこの1年半。スタッフにとっても試行錯誤と対話を重ねた時間でした。2018年春以降、居住地区に関わらず参加を受け入れたことで人数が増えてからは、フィールドの使いかたをあらためて再認識したり、動線を見直したりと、細かい調整もし続けました。子どもとの関わりかたも、スタッフ同士の関係性も、積み重ねることで見えてくるものがあったようです。

どんな出来事があったのか、いくつかエピソードをお伝えします。

大きなハンモックを揺らして遊ぶ

 

コウタとケイタロウの葉っぱかけあそび

木々の葉が色づき、鳥井原の森を彩る季節。敷地の奥にある大きなハンモックで4人くらいで遊んでいると、ハンモックに乗って揺れる人、そこに落ち葉をかける人と分かれ、声をあげて喜んでいます。そのうちに全員がハンモックから降り、落ち葉をかけあい始めました。

しばらく遊んでいると、コウタが急に泣き出し、一人であずまやの方へ行ってしまいます。ちょうど落ち葉をかけあっていたケイタロウは、コウタがなぜ泣き出したのか分からず面食らっている様子。どうして泣いているのか気になるし、聞きに行こうか?とスタッフがケイタロウを誘います。

どうしたのか、何か嫌だったのか、悲しかったのか……と気持ちを尋ねていくと、はじめは黙り込んでいたコウタが「はっぱが顔にかかったのがいやだった」とぽつり。「はっぱが顔にかかったのがいやだったんだね。ケイタロウはどう?」とスタッフ。ケイタロウは「ぼくは顔にかかっても大丈夫」。「いやだった」から泣き出したコウタ、「大丈夫」だから面食らったケイタロウ。お互いの気持ちを聞きあい、一応納得したのでしょうか。その後2人はまた遊びに戻っていきました。

どんなことで嫌な気持ちになるかは人それぞれ。そのときの関係性や心の状態によっても変わってきます。同じことをしても人によって感じ方が違う、自分は大丈夫でも嫌な気持ちになる人もいるんだ、自分は嫌でも大丈夫な人もいるんだとコウタとケイタロウが気づいたかどうかはわかりません。けれど、些細なことでも、こういう体験の積み重ねで、相手を思いやったり、気持ちを尊重したり、気づいたりするようになっていくのかもしれません。

冬になると氷が張る川

 

カナトの一人あそび

年長のカナトは、昨年度から1年以上継続してかぜあそびの日に参加。一人で遊ぶのが好きでした。初夏のかぜあそびの日でのこと。カナトは絵の具を見つけ、直接指につけてペタペタと遊び始めます。はじめは紙に塗っていましたが、だんだんと大胆になり、倒れている木の幹や、自分が着ているレインコートの上にまで絵の具を広げ始めました。スタッフが話しかけてもまるで耳に入らない没頭ぶりで、周りはどこもかしこも絵の具だらけに。

その後、川に行くというのでスタッフが後ろをついていくと、足が滑って川に落ち、長靴の中に水が入ってしまいました。そのまま川から上がり、川沿いを歩いていましたが、何を思ったのか突然長靴を脱ぎ、ぎゅっと掴むと川の中に投げ入れます。流されていく長靴……。スタッフが慌てて拾いに川に入ると、カナトも靴下のまま追いかけます。長靴を拾っても、濡れているのが嫌なのか、履かずに立ち尽くしているカナト。川からみんながいる場所まではデコボコの道で、長靴を履かないと帰れません。じっと待っているとようやく履きましたが、違和感があるのか、少し歩くと立ち止まってしまいます。結局、5分もあれば戻れる距離を、歩いたり、立ち止まったりしながら、30分以上かけて帰ってきました。

秋のかぜあそびの日、またカナトが「川へ行きたい」とスタッフのところにやってきました。スタッフが後ろからついていくと、カナトは川に向かってどんどん歩いていき、またぬかるみに長靴を取られて濡れてしまいました。やはり濡れるのは不快のようで「戻りたい」と言います。

カナト「これだからかぜあそびこなければよかったよー。」
スタッフ「え?なんで?」
カナト「だってぬれるから。」
スタッフ「ぬれるのいやだったんだ。」
カナト「……ほのかちゃんは土嫌いなんだって。」
スタッフ「ほのかちゃんて誰?」
カナト「クラスの友だち。土いじりしたときに言ってた。」

濡れた自分の足から、保育園の友だちとのやりとりを思い出したようです。カナトがかぜあそびで友だちのことや通っている保育園の話をするのは、初めてのことでした。
かぜあそびは、誰もが安心して自分でいられる場。その子がしたい遊びを、自分の世界に浸って満たされるまで遊ぶことを大事にします。一人でじっくり遊んでいるカナトの心の中には、友達の存在が確かにありました。

この日のおやつは焼きマシュマロ。枝を拾ってきて思い思いにあぶる

 

その子にとってベストな関わりって?

参加人数が多くなってからは、朝の時間に子どもたちがあちこちで泣いている風景が見られることも。何度も参加している子でも、毎回すっと遊びに入れるとは限りません。サチもその一人。あるとき、朝から大泣きしていることがありました。なかなか気持ちの切り替えができず、泣きながら感情があふれてワァ〜っと地団駄を踏み始め、収拾がつかなくなってしまいます。スタッフが抱っこしたり、手をつないだりしたまま1時間半が経過したころ、サチに付き添っていたスタッフのところにほかの子が来て、「ハンモックまで案内してくれる?」。「いいよ」とスタッフがサチを連れて敷地の奥のハンモックまで行き、遊んでいる様子をそばで見ていると、隣にいたサチが突然ハンモックの縁を掴み、そのままハンモックに乗り込みました。そして、1時間半泣き止まなかったのが嘘のように、他の子どもたちと遊び始めたのです。

その日のスタッフミーティングでは、泣き続けていたサチへの関わり方がどうだったのか、スタッフ当人が悩む気持ちを共有しました。スタッフがずっと1対1で付き添うことでサチが他の子と関わる機会を奪ってしまったのではないか、いや、丁寧に寄り添うことで気持ちを吐き出しきれたから、サチは次に行けたのではないか……。

かぜあそびでは、「〜したい」と子どもたち一人ひとりの思いが遊びや関わりへと展開されます。それは大人も同じこと。「こういう子どもにはこう関わるべき」というようなあらかじめ用意された正解なんてものはなく、その日そのときの「こう関わりたい」をそれぞれのスタッフが試し、積み重ねていく。そうして選んだ関わりを尊重しあう。でも、悩んだとき、不安になったとき、隣にいる人とそれを共有し、違う立場からフィードバックをもらうことで、次に同じように悩んだ場面では別の選択肢を持てるかもしれない。子どもだけでなく、大人の間にも、自分が自分のままでいられる安心感のある空気が少しずつ時間をかけて育まれています。

月に一度から、毎日になると

これまで月に一度の開催だった「かぜあそびの日」が、4月から毎日の認可外保育施設「かぜあそび」になると、どんなことが変わるでしょうか。スタッフの一人がこう答えました。

「大人も子どももたくさん失敗ができるようになる」。

月に一度の開催で翌日に続かない関係性の中だと、子どもたちをすごく残念な気持ちでは家に帰せない。でも、次の日も、次の週も続いていく場であれば、例えば子ども同士が大げんかしたままでも、「今日はこうでした」とそのまま帰せるかもしれない。その先に子どもたち自身でお互いが納得する関係を築けると信じて、保護者とスタッフが一緒に見守っていけたらいいな、と。

かぜあそびでは、「じっくり ゆったり たっぷり遊ぶ」「過不足なく関わる」を大切に保育をしていきます。そのために日々の場面ではどんな選択を重ねていくのか、引き続き試行錯誤と、ときに失敗もしながら、これから春、夏、秋……と季節を重ねていくことでしょう。そこで育まれたものは、そのまま軽井沢風越幼稚園へと引き継がれていきます。

かぜのーとでは、今後も定期的にかぜあそびのレポートを予定しています。これから子どもたちとスタッフがつくる鳥井原の森での新たな日々、どうぞご注目ください。

かぜあそびは季節はずれの大雪で始まりました

 

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かぜのーと編集部です。軽井沢風越学園設立準備のプロセスを多面的にお届けしたいと思っています。辰巳、中村、三輪が担当。

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