自己主導の学びと協同の学びのゆるやかなつながり

朝のサークルという「わたしたち」の時間が終わると、次は「わたし」の時間、自己主導の学びの時間が始まる。

まずは自分の席で学習計画表を開き、今日この時間で学ぶことを確認。ホワイトボードにどこで学習するかを記入し、学びたい場所へ移動する。ここから2時間は自己主導の学びの時間だ。

小4のゆいはホームグループのスペースを出て、校舎の真ん中にあるライブラリーのそばの大きなテーブルに座った。「よし、今日は分数の足し算から」。ゆいは今小5の単元まで進んでいる。やりはじめてみたものの通分がわからなくなってしまった。しばらく考えていたけれど…うーん。そこで横に座っていた中学生に聞いてみる。
「ちょっとここなんだけどー」
「どこどこ?あー通分難しいよねえ。どこまでできたの?」
中学生のけんたは丁寧に教えてくれた。
「あーなるほど。わかってきた。自分でやってみる。ありがとう!」。
けんたのノートをちょっとのぞくとなにやらすごく難しそうなことやってる。化学?中学生すごいな。かっこいい。

周りを見渡すと、それぞれやってることが違う。わからなくなったり、困ったりしたら誰にでも「教えて」「助けて」と言える、この気軽な感じが好きだなー。一人でやってるけど一人じゃない。ゆいもよく尋ねられるし、かかわっていく中で自分が必要とされていることに気付くことができる。1人で黙々と進めている人、タブレットで動画を見て学んでいる人、数人で集まって教職員にレクチャーしてもらっているグループ、対話しながら進めているグループ、さまざま。自分のペースと学び方に合わせて、それぞれの学習計画で進めている。さわさわと声はしているが、そのトーンはおだやかで心地よい。

算数を終えるとゆいは、ホームグループ担当の教職員のところへ。
「なお先生、今週の振り返りおねがいします!」
「どうぞ!ゆい、今週どんな感じ?」

週に1回、教職員と今週の振り返りと来週の計画を一緒にする約束になっている。教職員は伴走してくれている感じ。
「今週をふり返ってみるとどう?」
「だいたい予定通りに進んだかな。今書いている物語がいい感じに進んでます。〆切近いからペースあげようと思っていて…。個人探究がちょっと行き詰まっているんだけど…」
「うんうん」
「あとで、ライブラリー行って相談してみようかな。」

学習計画表、ノート、テキストなどを見ながら一緒に1週間を振り返る。
「分数ちょっと難しいんだけど、いい方法ありませんか?」
「そうだねー、どんなサポートがあるといい?」
「この間、動画見たけどよくわかんなくて。明日ミニ講座開いてくれますか?」
「じゃあ、明日やろうか。他にも分数で困っている人いるかもしれないから、他の人にも聴いてみよう。ここは時間かけてじっくりやるといいよね。来週の計画ちょっと変える?」

こんな感じで一緒に今週を振り返り、困っていることを相談したり、アドバイスをもらったりして、来週の計画を立てる。この学校は「わたし」からスタートできる。わからないことや、やりたいことにこだわって自分のペースで学べる。
「また何かあったら声かけてね」
「うん、ありがとうございます!」。

ゆいはテーブルに戻ると算数をしまい、次は、取り組んでいる物語の続きを書き始める。ノートの下書きはもう5ページを越えた。今、ゆいにとって、物語を書いているときが一番楽しい。「あ、そういえば昨日読んでいた本にいい文章あったな。あれ真似してみようかな。」バッグから昨日読んでいた本を取り出してパラパラ眺める。「ゆい、ちょっとオレが書いている文章読んで、アドバイスくれない?」こちらに歩いてきた子から声がかかったので、交換して読み合うことにした。2週間後には、ホームグループで作品を持ち寄って発表し合う時間がある。それまでに仕上げなくちゃな。今回のは自信あり。コンクールにも応募しようと思っている。

自己主導の学びの時間も終わりが近づいてきた。もう2時間たったのかあ。今日もあっという間だったなあ。自分のペースで学べる時間、この時間がゆいは大好きだ。ゆいはカウンターで司書のみさきさんに、「みさきさん、この本めっちゃおもしろかった!同じ作者でおすすめありませんか?」と相談。
「じゃあ、この本どう?たくみくんもこの間読んですごくおもしろかったって」
「読んでみます!あと個人探究でも相談あるんだけど~」

今日は天気もいいし、休み時間、森に行って読もうかな。

(2017年2月12日版)

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