朝のサークル

大屋根、森、デッキ、築山…。いろいろなところに散らばっている幼児たち。鈴の音を合図に切り株が転がっている一角に集まってくる。それぞれの切り株はそれほど重たくなく、4歳児であれば自分で動かせる。表皮をすべて剝がしている切り株、紙やすりで座面をつるつるにしている切り株、クレヨンで模様を描いている切り株、ひとつとして同じ切り株はない。好きなところへ自分の切り株を動かして座る。「今日は交換してみようか?」「いいよ。」そんなやりとりも。朝のサークルのスタートだ。軽井沢風越学園では、輪になって対話することが多い。これを私たちは「サークル」と呼んでいる。

チベットシンバルの音を合図に、隣の人とのおしゃべりが始まる。「今日は何する?」「昨日の続きの秘密基地づくり。」「私は今日は絵本つくるの。」もう一度チベットシンバルが鳴り、おしゃべりが静かに止まる。「今日、どんなことやりたい?」保育者の投げかけに、それぞれが答えていく。「ミミズを探したい!」「クモの巣についている水玉を集めたいなぁ。」「松ぼっくりでなにかつくろうと思ってる。」 続いて保育者が投げかける。「何か、いま困ったことがある人?」「帽子、忘れちゃった…」「ぼく、2つもってるから貸してあげる。」「ありがとう」「わたしも貸してあげるー」「じゃあ、2つかぶっちゃうね。」「みんなに伝えたいことがある人?」「今日、うちのお母さんの誕生日なの。」「おめでとうー。」

 

鈴の音が聞こえると、外で遊んだり、「探究の学び」に取り組んでいた小学生中学生たちも校舎の中にゆるゆると戻ってくる。2つの異なる学年の子どもたちが混じっているホームグループでのサークルの時間。それぞれのホームグループの部屋に丸く置かれたベンチにあつまって座りはじめる。部屋のデザインはそれぞれ個性的。新年度のはじめに自分たちが居心地いいようにリフォームするところからスタートするからだ。「ここ空いてるよ」「お、ありがとうー」。座る場所は毎日ちょっとずつ変わっている。基本の丸は保ちながら、ベンチを前後左右に移動させ、自分の快適な所を探っていく。いろんな人との関係をゆっくりとつくっていく。

今日のファシリテーター役の子の「おはようー。昨日どんな1日だった?」の声で、近くで座っている人とのおしゃべりからスタート。

「昨日、本読んでたら寝るの遅くなってさ、今日寝不足…。」「何時まで起きてたの?」「12時…。」

「今日なにやるの?」「ああ、朝、算数一気に進めたら、今日は今『探究』で取り組んでる映画作りで、動画撮影やるんだ」「ついに撮影の準備できたのか!」

昨日あったこと、今日やりたいことを確認していく。

「何かみんなで話したいことある?」のファシリテーターの問いかけに、「僕らのこのホームグループの場所、最近ちょっと使いづらいからリフォームしたいんだけれど」「どんなところが使いづらいって感じるの?」「どんなふうにしたい?」「私たちが『探究』で作った本棚とか使ってみない?」いろんなアイデアが出て、早速明日から取り組むことに。

ホームグループ担当の教職員からは、今日午後来客がある旨が伝えられた。学校案内は子どもと教職員の協同の仕事。今回はこのホームグループが担当だ。ランチタイムに有志と教職員で打ち合わせをすることになった。サークルの最後は読み語りの時間。司書教諭のみさきさんお薦めの『夏の庭』もいよいよクライマックスだ。物語の共有の時間が終わると、それぞれ自己主導の学びの時間へと移っていく。

(2017年2月5日版)

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