子どもと一緒に読みたい本 NO.1
『きょうしつのつくり方』

『きょうしつのつくり方』(岩瀬直樹、旬報社)
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自著を紹介するのはなんとも気恥ずかしいですが、
やっぱり1冊目にはこれを取り上げたくなりました。
ぼくが担任していた学級をモチーフに、
イラストレーターの荻上由紀子さんが絵本にしてくれた
『きょうしつのつくり方』です。

この絵本には、教室の1年間が描かれています。
「わたし」がいたくなる教室ってどんな教室だろう?
あれこれ試行錯誤しながら「きょうしつ」をつくってきた子どもたちの
4月のスタートから3月の旅立ちまでの1年間の物語です。
フィクションではありますが、ぼくが担任していた学級で
実際に起きたことを表現したノンフィクションともいえます。

この絵本には、あえて「文字」はありません。
ぜひ友だちと、お子さんと本をめくりながら、
バーチャル授業参観してみてください。
「このページでは何やってるんだろう?」
「この子はどんなこと感じてるんだろう?」
「あ、この子、他のページにもいた!」
などなど。

この絵本をきっかけに、「わたしたちが行きたい、
子どもに行ってほしい学校ってどんな学校だろう」を考える
きっかけになるとうれしいです。
この記事を書くのに、ぼく自身もあらためてページをめくりながら、
「ぼくらはどんな学校をつくりたいんだろう」
ということを考えました。
幸せな子ども時代を過ごせる学校ってどんな場所だろうと。
正解はないけれど、開校に向けてじっくりじっくり考え、
準備していきたいなと思っています。

巻末には、発起人のひとりの苫野一徳さん、
尊敬するファシリテーター寺中祥吾さんとの鼎談も載っています。
丁寧に大事なことを話せたんじゃないかなと思っています。
蛇足ですが、この絵本、ある国立大学の大学院の入試に使われたことが
あるそうです。どんな問題だったのだろう…
絵本の前書きです。
         *  *  *
「みんなの教室はみんなでつくる」。
もし、小学校のクラスを子どもたちが中心で創っていったら、
そこはどんな教室になるでしょうか?
この絵本は、そんな、「みんなの教室はみんなでつくる」にチャレンジした
子どもたちの1年間の物語です。
教室は小さな社会です。そこでおきていることは、
20年後の未来の社会のありようだと考えることもできます。
では、20年後の社会はどうなっているとステキでしょうか。
例えばボクはこう考えます。
一人一人が自分が生きたいように生きていられる社会。
違いが大事にされてして、ゆるやかにつながっていられる社会。
ひとりでいることも大事にされる社会。
「助けて」と気楽にいえる社会。
自分の力が発揮できる社会。
問題や課題はみんなで相談して解決に向かえる社会。
そんな社会で生きている人々は、
「自分の手元から、自分や社会はよりよく変えていける」
と確信して行動しているでしょう。
そのベースをつくるために、まず今の教室からスタートしたいのです。
教室を「自分の手元から変えていける」場に。
そんな未来の社会を試行錯誤する場でありたいと思うのです。

子どもたちには、自分たちの教室を自分たちで創っていく力があります。
これはボクが日々の教室の中で体験してきたゆるぎない確信です。
ボクたち大人が、本気で子どもたちに教室を創っていく自由と責任を手渡せば、
びっくりするぐらいのステキな「きょうしつ」が生まれていくのです。

この絵本には、そんな「きょうしつ」をつくってきた子どもたちの
4月のスタートから3月の旅立ちまでの1年間の物語が詰まっています。
フィクションではありますが、ボクが担任していた学級で
実際に起きたことを表現したノンフィクションともいえます。
この絵本には、あえて「文字」はありません。
ボクが担任しているきょうしつに、1年間定期的に参観に来たつもりになって、
じっくりじっくり見ていただきたいなあと思っています。
いわば、バーチャル授業参観、です。
そこには何が見えるでしょうか?
登場する子どもたちは何を考え、何を感じているでしょうか?

きょうしつはけっして、「ひとつのかたまり」ではありません。
そこにはそれぞれの成長の物語があります。
そこにいる一人一人の「こうしたい!」が重なったり、
ぶつかったりしながらカタチづくられていきます。
そこに正解はありません。

そこに偶然集まったメンバーで、まるで粘土のようにみんなでこねて、
自分たちの「きょうしつ=未来の社会」を試行錯誤しながら
カタチづくっていくのです。
それはもしかしたら従来の「学級」という既成概念を越えていく姿に
なっていくのかもしれません。

繰り返しになりますが、1ページ、1ページ、じっくり参観して、
一人ひとりがなにを考え、なにを感じ、どのように影響しあいながら、
「みんなのきょうしつ」をつくっていっているかを想像してみてくださいね。
できれば友人や家族、同僚と対話しながら読んでみてください。
絵本を使った対話のワークショップのイメージで。
そしてこの絵本を通して考えたり、感じたり、対話したり、
みなさんの「現場」や「わたし」を振り返る機会になるといいなあと思っています。
「もし、私がこの教室にいたら」と、絵本の世界の登場人物になって、
「きょうしつ」を一緒に創っていってみるのもステキです。
そこでなにが起きているかを感じてみてください。

ではきょうしつをつくるアドベンチャーのはじまりです。

(岩瀬直樹)